 | | WEB・CD-ROM・DTPのサムクイックがお届けするコラムページ「私的事情」です。
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外村 大 |
左の写真は、韓国ソウル、清渓川の上の橋に建てられた全泰壱(チョン・テイル)の像。勤労基準法遵守を叫び焼身自殺を遂げた人です。像の周りの歩道には、個人や労働組合によるメッセージ入りのプレートが埋め込まれており、興味深く読みました。足元が重要、ちょっと立ち止まって見てみましょう。ずっと、そればかりも困るのだけど…。 |
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懐メロ朝鮮紀行01:共に長生きする社会をめざして |
2006.7.10
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私は割合、統計が好きである。そんなわけで、自分の研究でも、統計データをエクセルに打ち込んで分析したり(といっても、複雑な数式を使うわけではなく、小学校の算数程度です)、あれこれ提示したりといった作業を行ってきた。メインでやってきた研究のテーマは人口移動に関わるので、人口統計を正確にとることは非常に重要だと思っている。まあ、総力戦思想の名残である国勢調査という名称は変えたほうがいいかもしれないし、プライバシーの問題等々いろいろ問題はあるでしょうけど。
そんなことをわざわざ言うのは、都市政策の専門家の方から夕張市の話に関連して「北海道の元産炭地の人口統計はあやしいんだよね」という話を聞いたためである。実際以上に人口が減っているのであろうか。でも、よく考えると政府発表のデータも“サンプルや数式をいじって有利なものにしているのでは?”というようなのもあるような気がする。
無駄話はさて置き、いろいろ言い出したら「正確な」人口統計というのはないわけであるけど、日本の国勢調査の確度が高いことは間違いないだろう。したがって、先日発表の2005年の国勢調査の年齢別人口速報値をわれわれはしっかり読むべし。いや、そんなことやらなくても、高齢化の進行が著しいことはみんなわかっているか…。
在日朝鮮人高齢者も当然、増加している。それらの人々は、言葉の関係や食生活の嗜好(年をとると、子どもの頃に戻る傾向が出たりする)などもあって民族的に特別なケアが必要になることもあるという話は少々聞いていた。しかし、もっときめ細かな対応が必要なのだな、と気づかされたのは、先日、在日外国人の生活問題に関わるNPOのスタッフから話をうかがった時のことである。最近のデイケアなり老人ホームではカラオケという娯楽がある。そこでやっぱり、軍歌等々、日本帝国の国策に沿った歌をがなりたてる日本人がいて、そうすると在日朝鮮人のお年寄りにとって精神的にダメージとなるケースがあり、少々問題となったというのが話の内容であった(もっとも、日本人でも軍歌はイヤだという気持ちがあってしかるべきだろうけど)。
その話を聞いてさらに思い出したのは朝鮮人多住地区を訪れた際のことである。そこにもやはり、老人向け施設があり、カラオケの音が聞こえていた。曲は「断腸のミアリ峠」という韓国人だったらよく知っている、しかし大半の日本人は知らない懐メロであった(たまたま韓国からのお客さんを案内していて「断腸のミアリ峠ですよね」といったら「よく知ってますね」とほめられた)。ただ、この曲は、日本人がいる環境でもそうだが、在日コミュニティのなかでもすんなり歌えるかどうか。なにしろ歌詞の内容は朝鮮戦争の際に愛する男性が人民軍に連れられていく様子を生々しく描いたものなのだから。
そんなわけで、年をとってからも、あるいはそれゆえに歴史と現状を反映して人間関係はややこしい。しかしともかく、日本人・在日朝鮮人が共に長生きする社会の実現を私としては切に願う。これは近現代史を研究している人間としての計算も入るけど。
そんなわけで、コラムの新シリーズは、高齢者のことも頭の片隅に置きつつ、朝鮮関係の日本の懐メロを取り上げることとする。週1回くらいは書いていくつもりです。 |
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