四国の空も、青かった。
海外には色々と行っていたのですが、日本国内では「北海道」「沖縄」以外に海を渡ったことがなく、当然四国に足を踏み入れたのも初めてでした。徳島駅にバスが滑り込んだとき、「えらく遠くまできたものだ」と私が感じたのも致し方ないと言えるでしょう。
最初のお寺「霊山寺」に向かった私は、半分、いや4分の3程、観光客です。だって、最初の宿を霊山寺近くにとってあったんですよ。これが何を意味しているかというと、「初日に歩く気はない」ということです。徳島の観光バスに乗っている人と何ら違いがないのでした。
霊山寺に向けて歩いている私。その時なんと、宿泊予定の宿を見つけてしまったのです。かなり重い荷物を持っていたため、まずは荷物を預かってもらえないかと交渉開始。おじいさんおばあさんが茶菓子など出してねぎらってくれました。しかし、いざ交渉を始めるととんでもないことを言い出したのです。
「まだ午前中だし、5番札所まで行けるねぇ。行っちゃえば?ねえ、おじいさん」「そうだ、歩き出しなさいよ!」。まあ、何と欲のない人たちなんでしょ!だって、私は宿を予約しているのですよ!?その私に、「うちに泊まるのを辞めなさい、是非!」と彼らは宣うのです。
私は呆然としながら歩き出しました。勿論荷物を置いていくわけにも行かず、「とりあえず霊山寺を詣でてブラブラするしかないね、こりゃ」とか思っていました。それでも私はスタートする気がありません。だって、観光日なんですから。「メチャクチャなとこだな、四国って」と半ば呆れながら、無知な私は霊山寺へ足を向けました。
その時の私は「四国」をまるで知らなかったのです。「四国」がお遍路の国であることを思い知らされるまで、それ程時間は要りませんでした。
<次回予告:「お遍路さん」>
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