WEB・CD-ROM・DTPのサムクイックがお届けするコラムページ「私的事情」です。 どうぞごゆるりとお楽しみください。

 
 
 
村井知生 1971.11.28 B
後天性ヒキコモリ気味なお遍路野郎。
一人でいると外にでたくなり、外にでると帰りたくなる。ペシミスティックなオプティミストを標榜し、日々此れ勉強。宮沢章夫のコラムが好きだが、電車の中で笑っていると変質者じみていて、堪えると苦しく涙が。。。

 
お遍路徳島編(1)「四国」
2004.07.28


四国の空も、青かった。

海外には色々と行っていたのですが、日本国内では「北海道」「沖縄」以外に海を渡ったことがなく、当然四国に足を踏み入れたのも初めてでした。徳島駅にバスが滑り込んだとき、「えらく遠くまできたものだ」と私が感じたのも致し方ないと言えるでしょう。

最初のお寺「霊山寺」に向かった私は、半分、いや4分の3程、観光客です。だって、最初の宿を霊山寺近くにとってあったんですよ。これが何を意味しているかというと、「初日に歩く気はない」ということです。徳島の観光バスに乗っている人と何ら違いがないのでした。

霊山寺に向けて歩いている私。その時なんと、宿泊予定の宿を見つけてしまったのです。かなり重い荷物を持っていたため、まずは荷物を預かってもらえないかと交渉開始。おじいさんおばあさんが茶菓子など出してねぎらってくれました。しかし、いざ交渉を始めるととんでもないことを言い出したのです。

「まだ午前中だし、5番札所まで行けるねぇ。行っちゃえば?ねえ、おじいさん」「そうだ、歩き出しなさいよ!」。まあ、何と欲のない人たちなんでしょ!だって、私は宿を予約しているのですよ!?その私に、「うちに泊まるのを辞めなさい、是非!」と彼らは宣うのです。

私は呆然としながら歩き出しました。勿論荷物を置いていくわけにも行かず、「とりあえず霊山寺を詣でてブラブラするしかないね、こりゃ」とか思っていました。それでも私はスタートする気がありません。だって、観光日なんですから。「メチャクチャなとこだな、四国って」と半ば呆れながら、無知な私は霊山寺へ足を向けました。

その時の私は「四国」をまるで知らなかったのです。「四国」がお遍路の国であることを思い知らされるまで、それ程時間は要りませんでした。


<次回予告:「お遍路さん」>



【不定期ブックレビュー】


「慟哭」 貫井徳郎

人は誰しも弱い部分を抱えているもので、それは「普段強いと思われている人」でも同様であり、弱い部分は同量なのだと私は思います。すがりつく対象もそれぞれで、状況的に理性の入り込む余地がないこともあります。「言葉にならない叫び」が少し聞こえてくるような本です。

 
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  04.7.8  
04.7.14
04.7.16
No.001 お遍路事始(1)「動機」
No.002 お遍路事始(2)「修行」
No.003 お遍路事始(3)「旅立つ者」




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