旅立ちは、いつも憂鬱。
すべての準備を終えて品川駅に向かう私ではありました。徳島行きの夜行バスのチケットは手の中にあったし、買い揃えられるものはすべて揃えてあります。先回に書いたトレッキングブーツだけでなく、バックやジーンズ以外のボトムなど、およそアウトドアと無縁の生活をしていた私だけに何も持ち合わせがなかったのです。
今回は修行の旅であるので、携帯電話などを持参しないことに決めていました。携帯など持っていると、ただでさえ旅嫌いな私はすぐに里心を出し部屋に飛び戻ってしまうためです。また、タバコやライターも持参を控えました。「煩悩を捨てる旅」にタバコは似合わないでしょ。
そしてバスに乗り込んだ私。発車1分前には既に後悔の渦です。もともとバスなんて大嫌いですから。しかも出立のその日は大雨(2001年9月9日夜)。雨のバスなんて人が耐えられる空気じゃありません。そんな私の気持ちをよそ目にバスは走り出します。こうして私は四国へ向けて出発させられたのでした。
気持ちの悪さに堪えながら、永遠に思える時間が過ぎていくのを待っていました。こんな時、人は想像力を働かせるのです。「四国に着いたら、かわいい四国女性が15人くらい並んで私を待っているのだ。『おこしやす!』などとお辞儀をするのだ」。本気でそう思えてくるから不思議です。四国に行ったことがないため、四国の方言がまったく浮かばなかったのも仕方ありません。一番気になったのは、15人の女性が2列に並ぶとしてどちらかが一方より短くなるのだろうな、という事だったかと思います。
そうこうしているうちに、バスは徳島駅に到着しました。疲労困憊の私は、徳島の朝空を眺め呆然とするのでした。雨はやみ、晴天の兆しが見えました。兎に角、最初の一歩が肝心です。私は動き始めた電車に乗り込み「一番札所:霊山寺」を目指しました。
電車に揺られ微睡みながら、私は15人の四国女性がいなかったもっともな理由を考えていたのでした。
<次回予告:「四国」>
【お遍路豆知識】
四国八十八カ所巡りは、一カ所参るたびに一つずつ煩悩が消滅するとされているそうだ。さっき知った。私は39番札所まで回ったので39個の煩悩が消滅しているわけだ。さて、どんな煩悩なのだろう?究極的にあたりさわりのない煩悩だと思われなくもない。例えば「電車で目の前で座席が空き、どうしてもそれに座りたいと思う煩悩」。別に座りたくないし。
【お遍路ニュース】
本日(2004年7月15日)、元民主党党首の管直人氏がお遍路を始めたそうだ。管氏は10日で室戸まで歩くとの話。ちなみに私は9日で室戸に到着(非移動日を1日含む)している。管氏のご健闘を祈る。
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