WEB・CD-ROM・DTPのサムクイックがお届けするコラムページ「私的事情」です。
どうぞごゆるりとお楽しみください。
モリヤアズサ 1974.2.26
2月26日生まれということもあってか、
周囲にも自分にも事件(?)が多い人生。
そんな中、7月4日(米国独立記念日)に娘を授かる。
次は5月15日あたりにナニかが 生まれるのかしらとドキドキする30歳。
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Vol.006 〜台風夜 その2〜
アナウンスの声で再び現実に戻された。

どうやら台風がすぐそこまで迫っているらしくこの先へ進むのは無理らしい。
最寄りの駅で一晩過ごすしかなさそうだということで
列車に残るか降りてホテルを探すかの選択を迫られたのだけど。

歌っていた彼等は降りてタクシーで次の駅まで向かっていった。
階段を降りていく彼等の後ろ姿がなんだか夢のようで。
バイバイと手を振る彼女がとっても寂しそうで。

さて感傷にひたっている場合ではないし途方に暮れるわけにもいかない。
もし1人なら野宿でもなんでも出来るのだけど
彼女にそんなことさせられないので早速ホテルを探すことにした。

こんなちいさな駅のことだしもしかしたら無いかもなあと思っていたら。
なんだ目の前にあるじゃん。楽勝気分で駅の階段をおりていくと
もの凄い突風に足をすくわれそうになった。 うおぉっ!
こんな時でさえ女らしい声が出ない自分にちょっと苦笑いしつつ
目標まで俊足を生かして猛ダッシュで突っ込んだ。とうのは嘘で
右へフラフラ〜左へフラフラしながらやっとの思いで辿り着いたのだった。
ああ。かけっこで一等賞をもらっていた頃が懐かしい・・。


そんなこんなでやっと着いたと思ったらなんと満室。えっ・・そんなぁ・・
呆然と立ちつくす哀れな親子は半ば心神喪失でホテルの外へ出たのだった。
暴風雨で頭はボサボサ服はヨレヨレまるで濡れ雑巾状態。いや雑巾に失礼か。
と、その時およそこの世のモノではないのではと思われる声がしたのである。
「あの〜自分の部屋譲りますよ。」「えっ、えぇぇえっ?!!」
振り返ると手に鍵を握ったサラリーマンがにっこり立っていた。

まさかこんなこと・・あ、きっと何か裏があるにちがいないぞ。
と出したその手を払いのけ・・とかそんなこと考えることもなく
なんと素直に頭を縦に何度も振りながらボロボロとその場で号泣してしまった。
濡れ雑巾がさらにボロボロになって見るも無惨な様子だったにちがいない。

「いやね、自分にも3歳の娘がいて気持ち分かりますから・・
 こいつと相部屋にしてもいいってホテルの方も言ってくれたんで。」
見ると後ろにこれまたにっこり笑ってサラリーマンが立っていて
「気にしないでくださいね。それより早く娘さんお風呂入れてやってね。」
と鍵をホイっと渡してくれたかと思うと足早にその場を立ち去ってしまった。

名前を訊くのを忘れるくらい泣いていた私に向かってまた誰かが声をかけてきた。
さっきとはうって変わって事務的な女性の声だ。
「受付はこちらになりますのでお名前等ご記入願えますかー」
ああそうね。泣いてる場合じゃないのね。ふん。

受付を済ませて部屋に入った途端にまた涙がこぼれた。
感謝と感激と感動とそして安堵と疲労とその他いろいろが混じった涙だった。
でも見上げる彼女の笑顔が自然に私を癒してくれた。
よかったねママと言ってるような目がいつもより大人っぽく見えた。

つづく。
2004年10月3日(日) No.7


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