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子供というのはよくしゃがむ。しかも突然。
大抵の子供がそうするように 彼女もまた突然何かを思い出したみたいにしゃがむ。 ちいさな膝の上にちいさな胸と手とをくっつけて ごくたまにしか見せない真剣な顔でじぃっと地面を覗き込んで 「あっ!」とか言いながら指さしたりする。
大人だったらきっとかなりクレイジーだろうなあと ふと隣にいる夫を見上げ想像して笑ってしまった。 でも2歳の子供だとなんとも微笑ましかったりして つい、一緒に覗き込んだりしてしまうものだ。
そこで目にするモノはかなりのロマンチストでない限り 目がキラキラするようなモノではない。大人なら。だけど。 子供の目はすごいスピードでキラキラを増して行く。
そこにはアリやダンゴムシなんかの小さな虫やら 綺麗な色の花やら貝殻なんかが在るのだけれど そのだれもが彼女にとっては良き友人であり 見つめるその目は彼等をしっかり観察し解ろうとしている。
そしていつの間にか彼女の周りに小宇宙が出来る。 そうなると大人にはもうお手上げだ。 そろそろ行こうかと優しく声をかけ その場を立ち去ろうとする我々を非難の顔で見上げ まだこの小宇宙を見ていたいとばかりに首を振る。 やれやれ。そんな目でこっちを見ないで。 まいったな。分かった分かった。
今日は彼女の勝利だな。まあ仕方がない。 小宇宙にすこしだけ付き合ってみるとしようかな。 とか言いながら実はちょっぴり嬉しい夕暮れなのだった。
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2004年7月12日(月)
No.4
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