WEB・CD-ROM・DTPのサムクイックがお届けするコラムページ「私的事情」です。
どうぞごゆるりとお楽しみください。
モリヤアズサ 1974.2.26
2月26日生まれということもあってか、
周囲にも自分にも事件(?)が多い人生。
そんな中、7月4日(米国独立記念日)に娘を授かる。
次は5月15日あたりにナニかが 生まれるのかしらとドキドキする30歳。
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Vol.007 〜台風夜 その3〜
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Vol.007 〜台風夜 その3〜
それにしても蒸し暑い一日だった。
体中から滲み出た汗と臭いを熱いシャワーで一気に流して湯船に身を沈めた。
彼女はウチのより二回りほど広い湯船で嬉しそうにはしゃいだ。
私もなんだか心躍ったりしてこんな時なのに、いやこんな時だからなのかな、
次に引っ越すときはお風呂の広い物件を探そうなんて呑気なことを考えたりした。

お風呂を出てテレビを見ていたら不思議な気持ちになった。
目に飛び込んでくるニュースの映像と今窓から見える光景がほとんど同じで
今まさにこの台風の真っ只中に自分達がいるという事実を突きつけられた。
そういやさっきまでボロボロの雑巾みたいだったっけ・・忘れかけてた。
それどころか呑気なことに近くに放送局があるのかななんて思ったりしてた。

そんな母以上に呑気っぷりを発揮していた彼女だったのだけれど
心なしかいつもより唄い方が穏やかで今日の慌ただしさを忘れさせてくれた。

そうしてしばらくベッドの上で2人してゴロゴロしながら唄っていたら。
あら。いつのまにか彼女の唄声が寝息に変わっていた。
よほど疲れてたんだろうなあ・・今日はごめんね・・おやすみ・・

眠る彼女の横顔がいつにも増して愛しくて私はしばらく眠れなかった。
そんな中激しい風雨が窓に打ち付ける音がだんだん音量を増してきた。
す、すごいな・・もし窓が割れたらどうしよう・・木が倒れてきたら・・ああ・・
たしか目の前には木が立っていた気がするぞ・・大丈夫かなあ・・云々・・
想像すればするほどどうにもこうにも不安は増すばかり。

高鳴る心臓音が窓外の音と混じってもううるさいやら怖いやら。
こうして小心者の私は眠れないまま朝を迎えることになるのだった。

そして。朝は突然やって来た。
カーテンの隙間からまばゆい太陽の光がまるで水みたいにすぅーっと流れてきて
ゆっくり、それでいてしっかりと部屋の中に充満してきた。
緊張していた頬の筋肉がすこしずつ緩んで私はゆっくりと深呼吸した。
それから首をまわして肩の緊張をほぐしながらカーテンをそっと開けてみた。

おぉー。 何故か声が出た。
駅前に突然オブジェが建っていたわけでもないし何かが消えてたわけでもない。
だけど何故かとても美しいものを発見した時のような声が出てしまった。
どうしてだったのか分からないけどなんだか感動すら覚えたのだった。

そんな私をよそに彼女は昼寝から目覚めたネコみたいにんぅ〜っと伸びをした。
そしてなにしてんの?って顔しながら隣にちょこんと寄ってきたので
抱き上げて一緒に窓の外を見てみたけれど彼女はあまり興味のない顔をして
お腹をぽんぽん叩きながら、ごはん?と聞いてきた。あ!お腹空いてんのね。
よしよしじゃあ一階のレストランでモーニングを食べよう。

もしかしたら初めて2人での外食だね。しかも知らない場所で知らない人達と。
なんだかドキドキするね。どんな料理があるかな。楽しみだね。
そう言いながらエレベーターのボタンを押した。
まるでこれから宇宙へと旅立つ気分で。
2004年10月14日(木) No.10


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